
tokiori企画十六
美術家 ごとう なみ 個展『dia-logos』
入り口のハニーサックルが見頃を迎え、穏やかで心地の良い風が吹く10日間でした。
今までなみさんの絵を拝見したり、アトリエにおじゃましたりしていた中で、なみさんが制作する作品のジャンルや知識の深さ、手法がとても興味深く、何かご一緒できないかとお声がけさせていただきました。
普段は油絵の抽象画を多く描かれていますが、tokioriは大きな絵を掛けられる壁の耐性がないことや、スペースにも限りがあることから展示内容を工夫しなければなりませんでした。なみさんにもそのことをお伝えしつつ、ご快諾いただけたことにとても感謝しています。
そして、ご提案いただいたのは普段描いてる抽象画を分解して、その構造を展示するというインスタレーションでした。今まで経験したことのない絵の見方!
サンプルを作っていただいてシミュレーションしてみると、手法はまったく違うのにふだんなみさんが描く抽象画を観ているような、でも新しい作品を観ているような不思議な感覚でした。美しい現象が目の前にありました。手法はモノタイプ。油絵の具とホワイトガソリンを用いて起きた現象を写し取るという版画の一種で、なみさんが長年繰り返してきた技法です。

使った色と、版になったアクリル板 現象の痕跡がとてもきれいです

入り口を入ってすぐの壁に配置した100号の大きなキャンバスの前に吊るされた4層の青く着色されたオーガンジー。外からの風と光を受けてまるで生命を受けたかのようでした。その現象をゆっくり眺めていただけるように、キャンバスに向かい合うようにベンチを置きました。

◯◯みたいに見えてきた、動く色の濃淡が水面に見える、自分の呼吸と呼応しているように感じる、などたくさんの感想を共有していただきました。層になったことで生まれた奥行きは、目をカメラのようにしてどこにピントを合わせるかでまったく別の絵が見えてきます。
絵を観ている感覚はあるけれど、光や風といった要素が加わりより多くの情報が混じり合います。観る人によってずいぶんと見え方が変わり、それらを共有することで生まれるコミュニケーションもまた絵の楽しみ方を広げてくれることを実感しました。ひとつの作品を通してその場に居合わせる人とつくる時間は、視野を広げ想像力を耕してくれる。個人的にも目の前に起きていることに対峙する、豊かで純粋な時間を過ごさせていただきました。







インスタレーションと一緒に展示した色鉛筆のドローイングは、こちらもなみさんが長年続けている細かい線の繰り返しで構成された作品です。無心になって手が動くままに色を選び線を引く。出来上がった形はとてもユニークで、使った色の名前が添えられて絵の一部になっているものまた愛らしく、実際に使っている150色の色鉛筆も展示していただきました。付けられたタイトルも独特で、こちらもいろいろな感想や妄想が飛び交いました。





展示にいたるまでの過程をはじめ、過去のインスタレーションや寄稿文、言葉と写真で綴られたポートフォリオを拝見して、なみさんがジャンルを問わず表現し続けているひとつひとつのことはすべてどこかで繋がっていて、でもその世界は私の想像には及ばない深さがあるように感じました。


今回のインスタレーションは、なみさんにとって制作の分岐点となる作品になったとおっしゃっていました。これからどんな方向に進んでいくのか、この企画展がきっかけになれたことをとても嬉しく思います。


県外から足を運んでくださったなみさんのご友人をはじめ、会期中に足を運んでくださったみなさま、佳き時間を一緒につくっていただきありがとうございました。





































































