『un bouquet de l’été』を終えて

料理家Hikaruさん(@hikhaboucca)とご一緒する3回目の会は、はじめての夏の会。

夏前からHikaruさんと会の想像を膨らませ、当日は室内に光や土や風、夏の畑の様子が感じられたり、テーブルを囲んで木陰で過ごしているような雰囲気を楽しんでいただけたらいいねとお話しを重ねてきました。

そして迎えた当日、2日間、各日6名様をお迎えしました。
暑い中足をお運びいただきありがとうございました。

un bouquet de l'été

un bouquet de l'été

ミント水をいただきながら、会ははじまりました。

un bouquet de l'été

今回の胡瓜は信濃町にあるりんもく舎さん(http://rinmoku.com/)のもの。5月に畑にお伺いしたのですが、畑の土がふかふかなことに驚きました。お話しを聞くと、農薬や化学肥料を使ってコントロールせず、草や虫、太陽など自然の力でできた土壌とのこと。

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りんもく舎さんの畑

自然の力に委ねた純粋な土壌で育った胡瓜だからこそなのか、味が濃く食感もしっかりとしていました。今回は珍しい薄い緑色の胡瓜も。味は通常の胡瓜より少しすっきりと辛味を感じます。広げた時の視覚も楽しく、お好みで混ぜてパンに挟んでいただきました。ちなみに、ストレスなく育った胡瓜はまっすぐなんだそう。

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今回使うパンは、Hikaruさんが朝焼き上げてくださったプルーンを練りこんだほんのり甘いパン。これがまた美味しいのです。

un bouquet de l'été

薄くスライスしたパンにマヨネーズを塗り胡瓜を丁寧に少し重なるように並べて塩を。その上にディルを広げ胡椒も少々。

みなさんがディルをちぎり始めると、いい香り!爽やかな香りに包まれました。

サンドウィッチに重石をして待つ間、シャルトリューズの時間です。
シャルトリューズは、フランスの修道院で1600年代ごろから秘伝のレシピで作られている薬草酒で、『ヴェール(緑)』と『ジョーヌ(黄)』があります。今回、このシャルトリューズに着想を得て、Hikaruさんがオリジナルレシピでノンアルコールのシャルトリューズ”Hikaru”を作ってくださいました。緑と黄色を足した深い色。

un bouquet de l'été

まずはそのままの香りと味をたのしみます。とろみのあるシロップは口の中にふわっと広がり、しばらくの間余韻に浸れるほど深く。

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その後、レモンを絞り発泡水で割ってカクテルに。鼻先で感じるレモンの酸味も爽やかで、体の中を涼やかな風が巡っていくようでした。ハーブクラッカーとオリーブを添えて。

Hikaruさんからシャルトリューズのお話しを聞いた時、この会全体のつながりをよりはっきりとイメージすることができました。緑と黄色、夏には胡瓜も緑の葉を広げ黄色い花を咲かせます。太陽の下に広がる畑の景色が目の前にありました。一方で、これが修道院で数人の修道士のみが知る秘伝のレシピで作られ、ひんやりとした貯蔵庫に静かに眠る薬草酒を想像した時の重厚感。夏のエネルギーに満ちた時間から、夏の終わりに差し掛かる頃、少し疲れた体を癒してくれるような時間へ。

un bouquet de l'été
サンドウィッチとかぼちゃのクリームスープをいただきながら、りんもく舎さんの畑のことやシャルトリューズのお話しをしたりして過ごしました。胡瓜のシャキシャキとした音が響き、みなさん大切そうにひとくちを味わっていらっしゃいました。もう終わってしまう…と名残惜しそう。

最後はほのかにハーブの香りをまとったフランと、ラプサンスーチョンという松の葉の煙で燻したお茶でしめくくり。

はじまりから終わりまで、爽やかな香りと深い味わいに満ちた時間となりました。

un bouquet de l'été

会の余韻を愉しんでいただけるようにと、シャルトリューズ”Hikaru”を小さな瓶に詰めてお土産に。ラベルは修道院をイメージして、手書きで文字を書き、ロウ引きして作りました。

テーブルの上に置かれた小さな本もまた、今回の会のイメージに合わせて手作りしたもの。フライヤーで使った半透明の紙が、光にかざしてみると写真に透明感が出て綺麗だったので、写真や映画のスライドみたいになってみなさまの記憶にとどめていただけたらと。

会場の様子も少し。

un bouquet de l'été
ディルのタネとドライハーブ

un bouquet de l'été

un bouquet de l'été
りんもく舎さんの畑の写真を展示しました
un bouquet de l'été
会場は外の景色からの続く、夏の木陰をイメージして

un bouquet de l'été

シンプルな胡瓜のサンドウィッチも、丁寧にひとてまかければ作るのも楽しく、見た目も美しく。きっと誰かに作りたくなるサンドウィッチのひとつになります。会のあと、ご参加くださった方がさっそく作っていらっしゃるのを拝見してとても嬉しくなりました。

ご参加いただいたみなさま、ここでのご縁をありがとうございました。そして、今回ご参加が叶わなかったみなさまへ、会の様子をうまくお伝えできていればと願いながら、今回の会の記録でした。

今回も、写真はズズサウルスの木下さんに撮っていただきました。
いつもありがとうございます!

tokiori企画 十四『un bouquet de l’été』

un bouquet de l'été

 

un bouquet de l’été

2023年 8月12日(土)・13日(日)
14:30-16:30

料理家Hikaruさんがつくる胡瓜のサンドウィッチ。
瑞々しくて香り豊か、記憶に残る味のひみつを知りたくて
夏の会をリクエストしました。

夏が始まる前にHikaruさんと訪れたりんもく舎さんの畑は
自然の姿を残した大地が広がり、土はやわらかく、
近づく収穫の風景に想像を巡らせました。

大地と太陽の恵みをたっぷり吸収して育てられた胡瓜とハーブ、
麦香る芳ばしいパン、素材を調えるところから始まるサンドウィッチ。
方法を辿ればきっと今度は誰かにつくりたくなる。

そして、古くから修道院で伝えられたフランスの薬草酒
“シャルトリューズ”からの着想を得て
Hikaruさんがオリジナルのシロップを仕込み
会ではノンアルコールのお飲み物をご用意いたします。
テーブルに広がる夏色の風景を愉しみながら、
数々のハーブの香りと力がからだの中を穏やかに巡ります。

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今回ご一緒させていただくきっかけとなったのは「Hikaruさんの胡瓜のサンドウィッチの作り方を知りたい!(食べたい!)」というリクエストからでした。

そこから少しずつ夏の会のイメージを膨らませ、来てくださるみなさまと過ごす時間をあれこれ想像しながらHikaruさんとお話を重ねていきました。
素材選びからはじまる旬を味わいながら、テーブルを囲んで過ごす時間や語らい、そこに流れる緩やかな空気感に、夏の少し疲れた体をゆだねられるような、そんなイメージをしながら準備を進めています。

un bouquet de l’été – 夏のブーケ

美しいブーケを受け取った時のように、
ここで過ごす時間と体験が、心の深いところに届きますように。

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un bouquet de l’été — 夏のブーケ

2023年 8月12日(土)・13日(日)
14:30-16:30

席 数:各会6席
参加費:¥7,000(税込)
持ち物:エプロン、ハンカチ、筆記用具
ご予約:※両日満席となりました

ご希望日、人数、参加する方のお名前、代表者様のご連絡先、アレルギーの有無をご記入の上送信してください。先着順の受付となります。SNSのメッセージやDMでのご予約は受け付けておりませんのでご了承くださいませ。

※お申し込み後のキャンセルはできませんが、当日やむおえず参加できなくなってしまった場合は、サンドウィッチのレシピとおみやげを後日お渡しいたします。

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これまでにHikaruさんとご一緒した会の記録はこちらをご覧ください。

『Fall in herb, Fall in spice』(2019.11)
『Maison de Biscuit – notes of winter table』(2021.12)

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『森の旋律』を終えて

安藤萌 個展『森の旋律』

安藤さんの作品と出会ってから約3年。tokioriでの企画展が実現しました。
初めて見た時に印象に残った曲線の美しさや縁の薄さ、“器”でありながら作品自体が放つ独特な佇まいに惹かれてお声がけしました。

安藤萌 個展『森の旋律』

さまざまな樹種、ウメやリンゴ、カキなどといった器にはめずらしい木を使ったり、通常ならば避けられる木の節や枝分かれした部分の扱いにくい部位でさえも活かす安藤さんの作風に興味を持ってくださった方がたくさんいらっしゃいました。

「この器は木の状態の時はこの向きで生えていて…」とか、「ここの色が違うのは枝分かれしていた部分で…」とか、「木目がこうなっているのはこういう向きで削り出していったから…」とか、安藤さんの製作過程のお話もとても興味深いものばかり。形が完成してしまうと見えない部分の話を聞けるのは、作家さんが在廊してくださるからこそのたのしみです。

安藤萌 個展『森の旋律』

生木の状態で形を作り、そこからの乾燥過程で自然にうまれる歪みを活かすという、まさに木の個性が宿る一点もの。同じようなサイズでも見比べてみると、波打つような曲線も木目も横から見たフォルムも違う。何度も何度も見比べて時間をかけて選んでくださる姿に、私も心の底から「わかるわかる!」と何度も呟きました。

安藤萌 個展『森の旋律』

安藤萌 個展『森の旋律』

安藤萌 個展『森の旋律』

うるしの器も手に取る方が多く、お抹茶用に花器にと、想像を巡らせながら選んでいかれました。

安藤萌 個展『森の旋律』

そして、器よりもさらに薄く削られたランプシェードからは、木目の表情が生き生きと映し出されます。

安藤萌 個展『森の旋律』

安藤萌 個展『森の旋律』

新作のひとつだった木の壁掛け。1点しかなかったのですが、存在感がありました。

安藤萌 個展『森の旋律』

安藤萌 個展『森の旋律』

そして、外からひと続きになるように設えた石(コンクリートの一部)の山。自然に溶け込むような一角には野性味を残した作品を。安藤さん曰く、こういう作品は、木自体との出会いと自分の中の想像力が掻き立てられた時にしかうまれてこないそう。一点一点の力強さを感じました。こちらは鉢カバーやオブジェにと用途はさまざま。

安藤萌 個展『森の旋律』

実用的なものからオブジェまで、それを使う人の想像力や感性によってどんどんイメージが膨らみます。中に何かを入れずとも、そのフォルム自体をたのしむことができるのも魅力のひとつ。自然の力に委ねながらうまれてきた作品だからこそ、人を癒し穏やかな気持ちにさせてくれる力があるような気がします。森の中の景色を見ている感覚に近いでしょうか。

寒い中、tokioriに足を運んでいただいたみなさま、また、気にかけてくださったみなさまありがとうございました。
安藤さんの工房兼ギャラリーは上田別所温泉近くにあります。これから冬季休業に入るようですが、あたたかくなったらぜひ訪ねてみてください。
https://www.morino-utsuwaya.com/

安藤萌 個展『森の旋律』

安藤萌 個展『森の旋律』
今回の展示で石の展示台をつくるにあたり、善光寺門前 Gallery MAZEKOZEを企画運営するRIKI-TRIVAL(リキトライバル)の小池さんにご協力いただきました。「石とか自然に近い素材を展示に使いたいのですが…」という私のざっくりとしたイメージにもかかわらず、親身に相談に乗っていただきました。安藤さんがつくる自然の姿に近い味わいを残した力強い作品と調和し、展示の可能性を広げてくださいました。本当にありがとうございます!

その他、什器の一部は古道具 そらしまさんでお借りしました。

写真は毎度ながら、ズズサウルスの木下さんにもご協力いただいています。

今回も、たくさんの方にお力添えいただき感謝いたします。

tokiori企画 十三『森の旋律』

安藤萌『森の旋律』

安藤 萌
『森の旋律』

2022/12/17sat.-26mon. 会期中無休
13:00-18:00 (21日は20:00まで)
作家在廊日: 17(土)・18(日)・21(水)・22(木)・25(日)・26(月)

………….

木の記憶が宿る美しい曲線

木の声を聞き、木の呼吸に委ねて完成する形状は

森の中で生きてきた歳月を見ているかのよう

大きな壺やランプシェード

たっぷりとしたつくりの鉢や平皿

大小さまざまに並びます

うつわとしての用途を超えた

『森の旋律』をおたのしみください

………….

安藤さんとの出会いは3年ほど前のこと。別所温泉を訪ねた際に立ち寄ったカフェで偶然手にしたポストカードがきっかけでした。工房兼ギャラリーを訪ねてみると、日本家屋の一軒家の中にずらりと並んだ木の器たち。どれも絶妙な曲線のある形状で、ずっと眺めていてしまう癒しに似た感覚がありました。お話しを聞くと、その曲線は木が乾燥する時におこす自然の歪みとのこと。それぞれの木の個性を見ているようで、ずいぶんと長居をしてしまいました。

『森の旋律』ー 何度か打ち合わせを重ね、作品を眺めながら安藤さんの言葉を聞いているうちに浮かんできた情景です。ゆるやかに不規則な曲線を纏う姿を眺めていると、深い森の静けさの中で生きてきた木の声が聞こえてくるよう。近隣の森から切り倒された木と向かい合い、対話しながら生み出された新たな命。tokioriで流れる森の旋律を、どうぞおたのしみに。

………….

作家プロフィール

安藤 萌(あんどうもゆる)
2008年フィンランドの「Liminka Art School」にて芸術、2009年~2012年「Lahti University」にて家具とプロダクトデザインを学ぶ。その後家具メーカーで設計と製造に携わり、福祉事業所での木工指導員を経て長野県上田市野倉に工房を開設。​​地元で切り倒された丸太から木の器を製作している。乾燥時におこる歪みや木の節や欠けを、その個性として美しく活かすことを目指す。

『10日間の額縁屋 Rendez-vous』を終えて

Rendezvous

通常の展示とは少々異なる「店舗」としてみなさまをお迎えする企画。どんな展開になるのか始まる前から期待が高まりました。

来店された方々の手には、今まで眠っていた絵や写真、置き場所に悩んでいたオブジェやアートピース、お皿まで、サイズも重さも素材も本当にさまざまなものがありました。その度、モリヤさんが作品に合わせてフィッティング。余白はあった方がいいか、縁の色は?細さは?深さは?マットはいる?…合わせていくと、作品の見え方がどんどん変わり自分で選ぶ時には想像しなかったような景色が見えてきて。シンプルなスタイルの額縁に秘められた奥深さを垣間見た気がします。

Rendezvous

Rendezvous

Rendezvous

Rendezvous

個人的に印象的だったエピソードをひとつ。自分で描いた絵を初めて額装した女の子がいました。絵が大好き、スケッチブックに描きためたたくさんある中から1枚切り離して、モリヤさんのアドバイスのもとそのままの状態で額装。スケッチブックの中にあってもキラキラして見えたけど、額装したこの1枚、彼女にとってこの初めての感覚はきっと記憶に残る、その瞬間に立ち会えたような気がして心密かに嬉しくなりました。大事そうに抱えて帰る姿もとても印象的でした。

Rendezvous

空間に設えた作業場は、実際にFLATFILEから持ち込まれたパーツを組み立ててモリヤさん自ら設営。あっという間に出来上がって驚きました。この作業スペースのみならず、tokiori全体が日を追うごとにモリヤさん色に染まり、10日目が終了した次の日も出勤してくるのではないかと思ってしまうほど。

Rendezvous

Rendezvous

Rendezvous

限られた日数の中、『Rendez-vous』にご来店くださったみなさま、気にかけてくださったみなさま、ありがとうございました!初日から賑やかなスタートとなり、壁一面を埋め尽くした100以上あった額縁も最終日には3分の1ほどを残すのみに。

多くの作家の額装を手がけているモリヤさん。自身も画家志望だったという背景もあり、アートに対する興味や知識、今まで目にしてきた数々の作品で培われた審美眼から発せられる言葉の信頼感、そして穏やかに導いてくれるその人柄が、多くの人が慕って額装を依頼する理由のひとつだと思います。
普段は長野市小鍋に工房を構えています。額装したいものが出てきたら、ぜひ、訪ねてみてください。

Rendezvous

FLATFILE
長野県長野市小鍋11−17
https://www.instagram.com/flatfile_/

tokiori企画 十二『10日間の額縁屋 Rendez-vous』

toliori企画 十二  10日間の額縁屋『Rendez-vous』

10日間の額縁屋
『Rendez-vous』

2022.10.18tue.-29 sat. (期間中の月曜・日曜はお休みです)
13:00 -17:00 (金曜日は21:00までオープン)
………….

100の額縁。
FLATFILE モリヤさんがこの日のために作り続けた額縁が、
tokioriを埋め尽くします。
10日間だけ開く特別な店『Rendez-vous』。
約束された出会いが待っているかもしれません。

………….

FLATFILEモリヤさんとの出会いは、さかのぼること20年近く前、ニューヨークでのこと。話が長くなるのでここでは端折りますが(興味のある方がいたら会期中にお話しましょう!)、稀有なご縁をいただきました。いつかご一緒させていただく機会があればと待ち望んでいたところ、この秋、ついに実現します。

約1年前から、少しずつ準備を進めていたこの企画。普段のオーダーメイドスタイルから一変、100を超える額縁だけがtokioriに並びます。厚みやサイズ、風合いが異なる額縁をじっくり眺めていただきたい。

『Rendez-vous』(ランデヴー)とは、“待ち合わせ” のこと。
壁一面に並ぶ額縁の中から、心惹かれる出会いを見つけていただけたら幸いです。

※額装したい絵やイラスト、オブジェなどがあればご持参ください。モリヤさんの在廊日には、その場で額装していただくことができます。(全日在廊予定)

………….

作家プロフィール

モリヤ コウジ
フレームショップ『FLATFILE』主宰。
2010年より『アートスペースFLATFILE」ギャラリー/フレーム
ショップ(長野市桜枝町)を開く。オーダーメイドによるフレーム
の制作、長野の作家を中心に展覧会を企画。2015年より
「FLATFILE SLASH」(長野市小鍋)に拠点を移す。

『Maison de Biscuit – notes of winter table』を終えて

Maison de Biscuit – notes of winter table

偶然にも、雪の週末。
スパイスクッキーの家がよく似合う景色になりました。

金曜日の夜に雪が降り始め、支度中だった室内から外を眺めながら心配な気持ちを半分抱きつつ、雪が積もったらもっと素敵な雰囲気になる!と密かに少しわくわくしていました。当日は無事皆さまをお迎えすることができ、冬の景色ともに、笑いと美味しいため息に包まれた2日間となりました。

Maison de Biscuit – notes of winter table

料理家Hikaruさんとテーブルを囲んで、スパイスクッキーのパーツを組み立てていきます。まずは展開図を広げて、パーツの組み合わせが決まったら、和三盆を溶いたお砂糖で角をつなげていきます。ゆっくり焦らず。まずは土台をつくって一度乾かします。

お砂糖が乾くのを待つ間のブレイクタイムは、スコットランドで誕生したHOT TODDYをお供に。ブランデーやラムをベースに(もとはウイスキー)柑橘やスパイス、はちみつなどを入れた冬によく飲まれる飲み物なのですが、今回はりんごジュースとスパイスで作ったノンアルコールのHOT TODDYでひと休みです。この時間に、Hikaruさんと羽深さんのお知り合いで、デンマーク人の詩人Kasper Lau Hansenさんの詩をご紹介しました。今回の会を企画をしていく中で、おふたりからご提案をいただき何編か読ませていただいたのですが、会の様子を想像しながら、ご参加くださるみなさまに向けてメッセージになるような、優しい言葉が詰まった一編を選びました。(この記録の最後に詩を載せてあります)

ブレイクタイムを終えて、次は屋根。これがなかなか難しい。。案の定、いろいろなハプニングが起こりました。屋根が土台の中にすっぽり入ってしまったり、建てたはずの土台がまた崩れてしまったり、、、それもまた、愉しみのひとつです。笑

Maison de Biscuit – notes of winter table

Maison de Biscuit – notes of winter table

屋根の完成が近づく頃、部屋中に広がるいい香り。
じゃがいものグラタンとアーユルベーダのスープ、カレンズとライ麦のパン。

オーブンから出した熱々のグラタンと、ギーをベースに野菜やポルチーニ、鶏肉をじっくり煮込んで濾した旨味がぎゅっと詰まったスープ、香ばしいパンの香りで心が満たされます。ひとくち口にした皆さんの顔が自然とほころび、ため息の連続でした。身体と心にしみるHikaruさんのお料理は、一度食べたら忘れられないのです。

Maison de Biscuit – notes of winter table

お食事をいただいた後はナイフで乾いたお砂糖を削って形を整えて完成です!
壁につけてあった飾り棚にそれぞれの家を載せて記念撮影も。

Maison de Biscuit – notes of winter table

↓1日目の家

↓2日目の家

Maison de Biscuit – notes of winter table

最後は、紅茶とノエルのお菓子を。デーツの甘みだけというお砂糖が入っていないチョコレートの中には様々なフルーツが入っていて、ひとくちで食べてしまうのがもったいない。。。少しずつ味わっていただきました。

Maison de Biscuit – notes of winter table

出来上がったお家を包んでお持ち帰りいただけるようにご用意した大判のハンカチには、今回ご紹介したKasperさんの詩の最後の一節をシルクスクリーンで印刷しました。ここで過ごしたあたたかな雰囲気と美味しい記憶を思い出していただけたら。

会の後、ご参加いただいた皆さまから心のこもったコメントや感想をいただきました。その言葉を何度も読み返し、Hikaruさん、羽深さんと、この会でご一緒する皆さまにお伝えしたかったことや感じていただけたらいいなぁと話していたことを汲み取っていただけていたのだと実感することができました。同じ時間を共有できたこと、新しいご縁をいただいたことに感謝です。

最後に、今回制作したものを少しご紹介させてください。ハンカチを留めた真鍮の金具は、昨年の企画展でご一緒させていただいたサトウカヨさんのワークショップを思い出し、手作りしてみました。不恰好ではありますが、それも味としてお納めいただきました。また、シルクスクリーンは松本にありますmagtasさんにお邪魔して制作しました。丁寧に教えてくださるので、初めての方でも安心です。楽しいので機会があればぜひ訪ねてみてください。

Maison de Biscuit – notes of winter table

Maison de Biscuit – notes of winter table

写真は、tokiori2階に事務所がある、ズズサウルスの木下さんに撮っていただきました。
いつもありがとうございます!

======詩の全文です======

As within, so outside

Silence.
Sing your song.
Blow your sunny trumpet.
Replenish me until I’m empty.

Call us,
from mountain high.
Thy mighty pinnacles,
where sacred rivers are springing from.

Silence.
Always fresh.
Embracing the heavens.
Thy shelter is our eternal joy.

Free us.
Play a solo.
May we transcend in thee.
Dusk in Sahara. Night in Tibet.

Silence
up in The Alps,
and on the red tulip fields.
Sunrise in Holland. Morning dew.

Bless us.
All tender beings.
As within, so outside.
Shower us softly until we bloom.

Kasper Lau Hansen
==================

少々長くなりました。。。
最後までお読みいただきありがとうございました!

『 B O R N 』を終えて

『 B O R N 』- 前沢泰史 SOLO EXHIBITION

『 B O R N 』 - 前沢泰史 SOLO EXHIBITION

型にはまらない自由で楽しげ、そして、どこかやさしく穏やかな佇まいの作品の数々。

この作品たちがどんな風に生まれてくるのか……前沢さんが普段使っている道具や過去に書いたスケッチ、インスピレーションを受けている本なども並べて、前沢さんの人となりと一緒に作品を見れたら面白いかも!と、長瀞にある自作のアトリエをイメージした空間を作りました。

普段の仕事とは切り離された、自分が「いい」と思うことに没頭する時間からうまれてきた作品たちは、流木の自然な形を生かしたちょっとユニークなものから、小さく繊細な人物像、祈る人、動物、どれも個性的で、見ているうちにその世界観に惹き込まれていくようなものばかり。企画展中にいろいろお話ししていると、作品への向き合い方だけでなく、生き方も人への接し方も柔軟で、ご自身のライフスタイルをとても楽しんでいらっしゃるように感じました。

そんな前沢さんのお人柄を受けてか、遠方からはるばるこの企画展を目指して来てくださる方や同僚の方、バックパッカー宿泊中に出会った旅の人たちがぞくぞくと訪ねていらっしゃり、驚きの連続でした。

「出来上がった作品を見てもらうのももちろん嬉しいけど、作っている時がいちばん楽しい!」という前沢さんの言葉通り、急遽開催したワークショップは大盛況。参加してくださったみなさんと、賑やかな時間を過ごしました。木彫の楽しさを味わっていただけて、ワークショップをやって本当に良かった!と前沢さんとの何度も話しました。

粗彫りしていただいた形からスタート。時々前沢さんの助けを借りながら彫り進めます。木が削られる音も心地よく、2〜3時間ほど作業(1時間くらいかな?と想定していたのですが、全然終わらない!)に没頭して素敵な作品がたくさん出来上がりました。参加してくださったみなさま、ありがとうございました!

最後に、今回の企画展は、FLATFILEのモリヤさんにご縁をつないでいただき、アトリエの再現にも全面的にご協力いただきました。モリヤさんなしではこの空間は出来上がらなかったと思います。また、この企画展に協力・応援してくださった全てのみなさまに感謝いたします!

ここでのご縁がまた次のご縁に繋がりますように。

tokiori企画 十一 『Maison de Biscuit – notes of winter table』

Maison de Biscuit  - notes of winter table

料理家Hikaruさんと時候を愉しむ2日間です。
流れる冬の詩の調べに耳を傾けながら、
スパイスクッキーのパーツを組み合わせて、ちいさな家をつくります。
ブレイクタイムには温かい軽食プレートのご用意をして、
ちいさな家が仕上る頃、出来立てをテーブルに。
穏やかな冬の夕暮れ時、ご一緒しませんか?
………….

2021.12.18 sat. & 19 sun.
時間:14:00-17:00
定員:各日6名様
参加費:¥6,500(税込)
申込み:コンタクトフォームより 

参加ご希望日、人数、参加する方のお名前、代表者様のご連絡先、アレルギーの有無をご記入の上送信してください。SNSのメッセージやDMでのご予約は受け付けておりませんのでご了承くださいませ。メール先着順での受付となります。

※お申し込み後のキャンセルはできませんが、当日やむおえず参加できない状況になってしまった場合は、スパイスクッキーの家のパーツとおみやげを後日お渡しいたします。
………….

2回目となるHikaruさんとの企画。前回同様、ご一緒するみなさまに愉しんでいただけるよう、いろいろと計画を練っているところです。年末に向かう慌ただしさの中、少し心落ち着く時間を過ごしていただけたらと思います。

ご参加お待ちしております。

tokiori企画展 十 『 B O R N 』

tokiori企画 十『BORN』

tokiori企画 十

『 B O R N 』 - 前沢泰史 SOLO EXHIBITION

会期: 2021.11.18 thu. – 12.10 fri
期間中の、木、金、土、日のみオープン
時間:11:00〜18:00

・・・

流木の形から生まれたヘンな生き物、何かを思う人物像。
前沢さんの木彫は、本棚や出窓の片隅からやさしく、時にはユーモラスに語りかけてきます。

・・・

初めて前沢さんを知ったのは、数年前のFLATFILEでの個展でした。
彫刻は私にとって少々ハードルが高く、その個展も眺めるだけ、と思って伺いました。ところが、前沢さんの作品は親しみがわくものが多く、なんとその時初めて流木のオブジェを購入しました。「木彫を買うとは、、、」と自分でもびっくりしたことを覚えています。

この冬ご縁をいただき、tokioriでの個展が実現します。今回は、埼玉県長瀞に構えた自作のアトリエで作られた新作の数々を、tokioriに持ち込んだそのアトリエのイメージの中でご覧いただきます。環境や心境の変化を経て生み出される前沢さんの作品たち。型にとらわれない、自然で自由な木彫の数々をご覧いただけると思います。ぜひ、おでかけください。

前沢さんの在廊日は、初日と最終日、その他の在廊に関しては、tokioriまたは前沢さんのインスタグラムでお知らせいたします。

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※お買い求めいただいた作品のお渡しは会期終了後となります。
※入室の際は手指の消毒にご協力ください。体調を整えてお出かけくださいませ。
※駐車場のご用意がございません。ご不便をおかけしますが、近隣のコインパーキングをご利用ください。
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