『森の旋律』を終えて

安藤萌 個展『森の旋律』

安藤さんの作品と出会ってから約3年。tokioriでの企画展が実現しました。
初めて見た時に印象に残った曲線の美しさや縁の薄さ、“器”でありながら作品自体が放つ独特な佇まいに惹かれてお声がけしました。

安藤萌 個展『森の旋律』

さまざまな樹種、ウメやリンゴ、カキなどといった器にはめずらしい木を使ったり、通常ならば避けられる木の節や枝分かれした部分の扱いにくい部位でさえも活かす安藤さんの作風に興味を持ってくださった方がたくさんいらっしゃいました。

「この器は木の状態の時はこの向きで生えていて…」とか、「ここの色が違うのは枝分かれしていた部分で…」とか、「木目がこうなっているのはこういう向きで削り出していったから…」とか、安藤さんの製作過程のお話もとても興味深いものばかり。形が完成してしまうと見えない部分の話を聞けるのは、作家さんが在廊してくださるからこそのたのしみです。

安藤萌 個展『森の旋律』

生木の状態で形を作り、そこからの乾燥過程で自然にうまれる歪みを活かすという、まさに木の個性が宿る一点もの。同じようなサイズでも見比べてみると、波打つような曲線も木目も横から見たフォルムも違う。何度も何度も見比べて時間をかけて選んでくださる姿に、私も心の底から「わかるわかる!」と何度も呟きました。

安藤萌 個展『森の旋律』

安藤萌 個展『森の旋律』

安藤萌 個展『森の旋律』

うるしの器も手に取る方が多く、お抹茶用に花器にと、想像を巡らせながら選んでいかれました。

安藤萌 個展『森の旋律』

そして、器よりもさらに薄く削られたランプシェードからは、木目の表情が生き生きと映し出されます。

安藤萌 個展『森の旋律』

安藤萌 個展『森の旋律』

新作のひとつだった木の壁掛け。1点しかなかったのですが、存在感がありました。

安藤萌 個展『森の旋律』

安藤萌 個展『森の旋律』

そして、外からひと続きになるように設えた石(コンクリートの一部)の山。自然に溶け込むような一角には野性味を残した作品を。安藤さん曰く、こういう作品は、木自体との出会いと自分の中の想像力が掻き立てられた時にしかうまれてこないそう。一点一点の力強さを感じました。こちらは鉢カバーやオブジェにと用途はさまざま。

安藤萌 個展『森の旋律』

実用的なものからオブジェまで、それを使う人の想像力や感性によってどんどんイメージが膨らみます。中に何かを入れずとも、そのフォルム自体をたのしむことができるのも魅力のひとつ。自然の力に委ねながらうまれてきた作品だからこそ、人を癒し穏やかな気持ちにさせてくれる力があるような気がします。森の中の景色を見ている感覚に近いでしょうか。

寒い中、tokioriに足を運んでいただいたみなさま、また、気にかけてくださったみなさまありがとうございました。
安藤さんの工房兼ギャラリーは上田別所温泉近くにあります。これから冬季休業に入るようですが、あたたかくなったらぜひ訪ねてみてください。
https://www.morino-utsuwaya.com/

安藤萌 個展『森の旋律』

安藤萌 個展『森の旋律』
今回の展示で石の展示台をつくるにあたり、善光寺門前 Gallery MAZEKOZEを企画運営するRIKI-TRIVAL(リキトライバル)の小池さんにご協力いただきました。「石とか自然に近い素材を展示に使いたいのですが…」という私のざっくりとしたイメージにもかかわらず、親身に相談に乗っていただきました。安藤さんがつくる自然の姿に近い味わいを残した力強い作品と調和し、展示の可能性を広げてくださいました。本当にありがとうございます!

その他、什器の一部は古道具 そらしまさんでお借りしました。

写真は毎度ながら、ズズサウルスの木下さんにもご協力いただいています。

今回も、たくさんの方にお力添えいただき感謝いたします。

tokiori企画 十三『森の旋律』

安藤萌『森の旋律』

安藤 萌
『森の旋律』

2022/12/17sat.-26mon. 会期中無休
13:00-18:00 (21日は20:00まで)
作家在廊日: 17(土)・18(日)・21(水)・22(木)・25(日)・26(月)

………….

木の記憶が宿る美しい曲線

木の声を聞き、木の呼吸に委ねて完成する形状は

森の中で生きてきた歳月を見ているかのよう

大きな壺やランプシェード

たっぷりとしたつくりの鉢や平皿

大小さまざまに並びます

うつわとしての用途を超えた

『森の旋律』をおたのしみください

………….

安藤さんとの出会いは3年ほど前のこと。別所温泉を訪ねた際に立ち寄ったカフェで偶然手にしたポストカードがきっかけでした。工房兼ギャラリーを訪ねてみると、日本家屋の一軒家の中にずらりと並んだ木の器たち。どれも絶妙な曲線のある形状で、ずっと眺めていてしまう癒しに似た感覚がありました。お話しを聞くと、その曲線は木が乾燥する時におこす自然の歪みとのこと。それぞれの木の個性を見ているようで、ずいぶんと長居をしてしまいました。

『森の旋律』ー 何度か打ち合わせを重ね、作品を眺めながら安藤さんの言葉を聞いているうちに浮かんできた情景です。ゆるやかに不規則な曲線を纏う姿を眺めていると、深い森の静けさの中で生きてきた木の声が聞こえてくるよう。近隣の森から切り倒された木と向かい合い、対話しながら生み出された新たな命。tokioriで流れる森の旋律を、どうぞおたのしみに。

………….

作家プロフィール

安藤 萌(あんどうもゆる)
2008年フィンランドの「Liminka Art School」にて芸術、2009年~2012年「Lahti University」にて家具とプロダクトデザインを学ぶ。その後家具メーカーで設計と製造に携わり、福祉事業所での木工指導員を経て長野県上田市野倉に工房を開設。​​地元で切り倒された丸太から木の器を製作している。乾燥時におこる歪みや木の節や欠けを、その個性として美しく活かすことを目指す。

『10日間の額縁屋 Rendez-vous』を終えて

Rendezvous

通常の展示とは少々異なる「店舗」としてみなさまをお迎えする企画。どんな展開になるのか始まる前から期待が高まりました。

来店された方々の手には、今まで眠っていた絵や写真、置き場所に悩んでいたオブジェやアートピース、お皿まで、サイズも重さも素材も本当にさまざまなものがありました。その度、モリヤさんが作品に合わせてフィッティング。余白はあった方がいいか、縁の色は?細さは?深さは?マットはいる?…合わせていくと、作品の見え方がどんどん変わり自分で選ぶ時には想像しなかったような景色が見えてきて。シンプルなスタイルの額縁に秘められた奥深さを垣間見た気がします。

Rendezvous

Rendezvous

Rendezvous

Rendezvous

個人的に印象的だったエピソードをひとつ。自分で描いた絵を初めて額装した女の子がいました。絵が大好き、スケッチブックに描きためたたくさんある中から1枚切り離して、モリヤさんのアドバイスのもとそのままの状態で額装。スケッチブックの中にあってもキラキラして見えたけど、額装したこの1枚、彼女にとってこの初めての感覚はきっと記憶に残る、その瞬間に立ち会えたような気がして心密かに嬉しくなりました。大事そうに抱えて帰る姿もとても印象的でした。

Rendezvous

空間に設えた作業場は、実際にFLATFILEから持ち込まれたパーツを組み立ててモリヤさん自ら設営。あっという間に出来上がって驚きました。この作業スペースのみならず、tokiori全体が日を追うごとにモリヤさん色に染まり、10日目が終了した次の日も出勤してくるのではないかと思ってしまうほど。

Rendezvous

Rendezvous

Rendezvous

限られた日数の中、『Rendez-vous』にご来店くださったみなさま、気にかけてくださったみなさま、ありがとうございました!初日から賑やかなスタートとなり、壁一面を埋め尽くした100以上あった額縁も最終日には3分の1ほどを残すのみに。

多くの作家の額装を手がけているモリヤさん。自身も画家志望だったという背景もあり、アートに対する興味や知識、今まで目にしてきた数々の作品で培われた審美眼から発せられる言葉の信頼感、そして穏やかに導いてくれるその人柄が、多くの人が慕って額装を依頼する理由のひとつだと思います。
普段は長野市小鍋に工房を構えています。額装したいものが出てきたら、ぜひ、訪ねてみてください。

Rendezvous

FLATFILE
長野県長野市小鍋11−17
https://www.instagram.com/flatfile_/

tokiori企画 十二『10日間の額縁屋 Rendez-vous』

toliori企画 十二  10日間の額縁屋『Rendez-vous』

10日間の額縁屋
『Rendez-vous』

2022.10.18tue.-29 sat. (期間中の月曜・日曜はお休みです)
13:00 -17:00 (金曜日は21:00までオープン)
………….

100の額縁。
FLATFILE モリヤさんがこの日のために作り続けた額縁が、
tokioriを埋め尽くします。
10日間だけ開く特別な店『Rendez-vous』。
約束された出会いが待っているかもしれません。

………….

FLATFILEモリヤさんとの出会いは、さかのぼること20年近く前、ニューヨークでのこと。話が長くなるのでここでは端折りますが(興味のある方がいたら会期中にお話しましょう!)、稀有なご縁をいただきました。いつかご一緒させていただく機会があればと待ち望んでいたところ、この秋、ついに実現します。

約1年前から、少しずつ準備を進めていたこの企画。普段のオーダーメイドスタイルから一変、100を超える額縁だけがtokioriに並びます。厚みやサイズ、風合いが異なる額縁をじっくり眺めていただきたい。

『Rendez-vous』(ランデヴー)とは、“待ち合わせ” のこと。
壁一面に並ぶ額縁の中から、心惹かれる出会いを見つけていただけたら幸いです。

※額装したい絵やイラスト、オブジェなどがあればご持参ください。モリヤさんの在廊日には、その場で額装していただくことができます。(全日在廊予定)

………….

作家プロフィール

モリヤ コウジ
フレームショップ『FLATFILE』主宰。
2010年より『アートスペースFLATFILE」ギャラリー/フレーム
ショップ(長野市桜枝町)を開く。オーダーメイドによるフレーム
の制作、長野の作家を中心に展覧会を企画。2015年より
「FLATFILE SLASH」(長野市小鍋)に拠点を移す。

『Maison de Biscuit – notes of winter table』を終えて

Maison de Biscuit – notes of winter table

偶然にも、雪の週末。
スパイスクッキーの家がよく似合う景色になりました。

金曜日の夜に雪が降り始め、支度中だった室内から外を眺めながら心配な気持ちを半分抱きつつ、雪が積もったらもっと素敵な雰囲気になる!と密かに少しわくわくしていました。当日は無事皆さまをお迎えすることができ、冬の景色ともに、笑いと美味しいため息に包まれた2日間となりました。

Maison de Biscuit – notes of winter table

料理家Hikaruさんとテーブルを囲んで、スパイスクッキーのパーツを組み立てていきます。まずは展開図を広げて、パーツの組み合わせが決まったら、和三盆を溶いたお砂糖で角をつなげていきます。ゆっくり焦らず。まずは土台をつくって一度乾かします。

お砂糖が乾くのを待つ間のブレイクタイムは、スコットランドで誕生したHOT TODDYをお供に。ブランデーやラムをベースに(もとはウイスキー)柑橘やスパイス、はちみつなどを入れた冬によく飲まれる飲み物なのですが、今回はりんごジュースとスパイスで作ったノンアルコールのHOT TODDYでひと休みです。この時間に、Hikaruさんと羽深さんのお知り合いで、デンマーク人の詩人Kasper Lau Hansenさんの詩をご紹介しました。今回の会を企画をしていく中で、おふたりからご提案をいただき何編か読ませていただいたのですが、会の様子を想像しながら、ご参加くださるみなさまに向けてメッセージになるような、優しい言葉が詰まった一編を選びました。(この記録の最後に詩を載せてあります)

ブレイクタイムを終えて、次は屋根。これがなかなか難しい。。案の定、いろいろなハプニングが起こりました。屋根が土台の中にすっぽり入ってしまったり、建てたはずの土台がまた崩れてしまったり、、、それもまた、愉しみのひとつです。笑

Maison de Biscuit – notes of winter table

Maison de Biscuit – notes of winter table

屋根の完成が近づく頃、部屋中に広がるいい香り。
じゃがいものグラタンとアーユルベーダのスープ、カレンズとライ麦のパン。

オーブンから出した熱々のグラタンと、ギーをベースに野菜やポルチーニ、鶏肉をじっくり煮込んで濾した旨味がぎゅっと詰まったスープ、香ばしいパンの香りで心が満たされます。ひとくち口にした皆さんの顔が自然とほころび、ため息の連続でした。身体と心にしみるHikaruさんのお料理は、一度食べたら忘れられないのです。

Maison de Biscuit – notes of winter table

お食事をいただいた後はナイフで乾いたお砂糖を削って形を整えて完成です!
壁につけてあった飾り棚にそれぞれの家を載せて記念撮影も。

Maison de Biscuit – notes of winter table

↓1日目の家

↓2日目の家

Maison de Biscuit – notes of winter table

最後は、紅茶とノエルのお菓子を。デーツの甘みだけというお砂糖が入っていないチョコレートの中には様々なフルーツが入っていて、ひとくちで食べてしまうのがもったいない。。。少しずつ味わっていただきました。

Maison de Biscuit – notes of winter table

出来上がったお家を包んでお持ち帰りいただけるようにご用意した大判のハンカチには、今回ご紹介したKasperさんの詩の最後の一節をシルクスクリーンで印刷しました。ここで過ごしたあたたかな雰囲気と美味しい記憶を思い出していただけたら。

会の後、ご参加いただいた皆さまから心のこもったコメントや感想をいただきました。その言葉を何度も読み返し、Hikaruさん、羽深さんと、この会でご一緒する皆さまにお伝えしたかったことや感じていただけたらいいなぁと話していたことを汲み取っていただけていたのだと実感することができました。同じ時間を共有できたこと、新しいご縁をいただいたことに感謝です。

最後に、今回制作したものを少しご紹介させてください。ハンカチを留めた真鍮の金具は、昨年の企画展でご一緒させていただいたサトウカヨさんのワークショップを思い出し、手作りしてみました。不恰好ではありますが、それも味としてお納めいただきました。また、シルクスクリーンは松本にありますmagtasさんにお邪魔して制作しました。丁寧に教えてくださるので、初めての方でも安心です。楽しいので機会があればぜひ訪ねてみてください。

Maison de Biscuit – notes of winter table

Maison de Biscuit – notes of winter table

写真は、tokiori2階に事務所がある、ズズサウルスの木下さんに撮っていただきました。
いつもありがとうございます!

======詩の全文です======

As within, so outside

Silence.
Sing your song.
Blow your sunny trumpet.
Replenish me until I’m empty.

Call us,
from mountain high.
Thy mighty pinnacles,
where sacred rivers are springing from.

Silence.
Always fresh.
Embracing the heavens.
Thy shelter is our eternal joy.

Free us.
Play a solo.
May we transcend in thee.
Dusk in Sahara. Night in Tibet.

Silence
up in The Alps,
and on the red tulip fields.
Sunrise in Holland. Morning dew.

Bless us.
All tender beings.
As within, so outside.
Shower us softly until we bloom.

Kasper Lau Hansen
==================

少々長くなりました。。。
最後までお読みいただきありがとうございました!

『 B O R N 』を終えて

『 B O R N 』- 前沢泰史 SOLO EXHIBITION

『 B O R N 』 - 前沢泰史 SOLO EXHIBITION

型にはまらない自由で楽しげ、そして、どこかやさしく穏やかな佇まいの作品の数々。

この作品たちがどんな風に生まれてくるのか……前沢さんが普段使っている道具や過去に書いたスケッチ、インスピレーションを受けている本なども並べて、前沢さんの人となりと一緒に作品を見れたら面白いかも!と、長瀞にある自作のアトリエをイメージした空間を作りました。

普段の仕事とは切り離された、自分が「いい」と思うことに没頭する時間からうまれてきた作品たちは、流木の自然な形を生かしたちょっとユニークなものから、小さく繊細な人物像、祈る人、動物、どれも個性的で、見ているうちにその世界観に惹き込まれていくようなものばかり。企画展中にいろいろお話ししていると、作品への向き合い方だけでなく、生き方も人への接し方も柔軟で、ご自身のライフスタイルをとても楽しんでいらっしゃるように感じました。

そんな前沢さんのお人柄を受けてか、遠方からはるばるこの企画展を目指して来てくださる方や同僚の方、バックパッカー宿泊中に出会った旅の人たちがぞくぞくと訪ねていらっしゃり、驚きの連続でした。

「出来上がった作品を見てもらうのももちろん嬉しいけど、作っている時がいちばん楽しい!」という前沢さんの言葉通り、急遽開催したワークショップは大盛況。参加してくださったみなさんと、賑やかな時間を過ごしました。木彫の楽しさを味わっていただけて、ワークショップをやって本当に良かった!と前沢さんとの何度も話しました。

粗彫りしていただいた形からスタート。時々前沢さんの助けを借りながら彫り進めます。木が削られる音も心地よく、2〜3時間ほど作業(1時間くらいかな?と想定していたのですが、全然終わらない!)に没頭して素敵な作品がたくさん出来上がりました。参加してくださったみなさま、ありがとうございました!

最後に、今回の企画展は、FLATFILEのモリヤさんにご縁をつないでいただき、アトリエの再現にも全面的にご協力いただきました。モリヤさんなしではこの空間は出来上がらなかったと思います。また、この企画展に協力・応援してくださった全てのみなさまに感謝いたします!

ここでのご縁がまた次のご縁に繋がりますように。

tokiori企画 十一 『Maison de Biscuit – notes of winter table』

Maison de Biscuit  - notes of winter table

料理家Hikaruさんと時候を愉しむ2日間です。
流れる冬の詩の調べに耳を傾けながら、
スパイスクッキーのパーツを組み合わせて、ちいさな家をつくります。
ブレイクタイムには温かい軽食プレートのご用意をして、
ちいさな家が仕上る頃、出来立てをテーブルに。
穏やかな冬の夕暮れ時、ご一緒しませんか?
………….

2021.12.18 sat. & 19 sun.
時間:14:00-17:00
定員:各日6名様
参加費:¥6,500(税込)
申込み:コンタクトフォームより 

参加ご希望日、人数、参加する方のお名前、代表者様のご連絡先、アレルギーの有無をご記入の上送信してください。SNSのメッセージやDMでのご予約は受け付けておりませんのでご了承くださいませ。メール先着順での受付となります。

※お申し込み後のキャンセルはできませんが、当日やむおえず参加できない状況になってしまった場合は、スパイスクッキーの家のパーツとおみやげを後日お渡しいたします。
………….

2回目となるHikaruさんとの企画。前回同様、ご一緒するみなさまに愉しんでいただけるよう、いろいろと計画を練っているところです。年末に向かう慌ただしさの中、少し心落ち着く時間を過ごしていただけたらと思います。

ご参加お待ちしております。

tokiori企画展 十 『 B O R N 』

tokiori企画 十『BORN』

tokiori企画 十

『 B O R N 』 - 前沢泰史 SOLO EXHIBITION

会期: 2021.11.18 thu. – 12.10 fri
期間中の、木、金、土、日のみオープン
時間:11:00〜18:00

・・・

流木の形から生まれたヘンな生き物、何かを思う人物像。
前沢さんの木彫は、本棚や出窓の片隅からやさしく、時にはユーモラスに語りかけてきます。

・・・

初めて前沢さんを知ったのは、数年前のFLATFILEでの個展でした。
彫刻は私にとって少々ハードルが高く、その個展も眺めるだけ、と思って伺いました。ところが、前沢さんの作品は親しみがわくものが多く、なんとその時初めて流木のオブジェを購入しました。「木彫を買うとは、、、」と自分でもびっくりしたことを覚えています。

この冬ご縁をいただき、tokioriでの個展が実現します。今回は、埼玉県長瀞に構えた自作のアトリエで作られた新作の数々を、tokioriに持ち込んだそのアトリエのイメージの中でご覧いただきます。環境や心境の変化を経て生み出される前沢さんの作品たち。型にとらわれない、自然で自由な木彫の数々をご覧いただけると思います。ぜひ、おでかけください。

前沢さんの在廊日は、初日と最終日、その他の在廊に関しては、tokioriまたは前沢さんのインスタグラムでお知らせいたします。

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※お買い求めいただいた作品のお渡しは会期終了後となります。
※入室の際は手指の消毒にご協力ください。体調を整えてお出かけくださいませ。
※駐車場のご用意がございません。ご不便をおかけしますが、近隣のコインパーキングをご利用ください。
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tokiori企画展 九 『白の気配』を終えて

昨年の12月から今年1月にかけて開催した『白の気配』。
ふたりの作家さんと同じテーマのもと、2ヶ月続きで開催するのは初めての試みでした。

「なぜそうしたんですか?」と度々聞かれたのですが、具体的な何かがあったというより、直感や感覚に従った結果そうなった、といった感じでしょうか。出会った時期も違うし、おふたりが知り合い同士だったわけでもなく、コラボ展のようにしたかったわけでもなく。

それぞれの作品を前にした時に、情報であふれる日常からしばらく離れられる空気感や、作品がつくり出す心地よい緊張感、目の前にあるものがすべてになる感覚があって。表現が難しいですが、作品にどんどん引きこまれていく感覚が似ていたことが一番大きな理由だと思います。さらに、些細なタイミングや嬉しい偶然が重なって、「あ、今!」みたいな感覚もありました。笑
そんな企画者の意図を汲んでくださったおふたりに、とても感謝しています。

そんなこんなの経緯がありつつ始まったのですが、「実は、ふたりとも好きな作家さんなんです!」と喜んでくださった方がいらっしゃったのは私自身も驚きでしたし、とても嬉しい瞬間でした。

第一幕
2020.12.8tue-12.27sun
ガラスクラフト作家 サトウカヨ

『白の気配』サトウカヨ ガラス

『白の気配』サトウカヨ ガラス

『白の気配』サトウカヨ ガラス

『白の気配』サトウカヨ ガラス

前半と後半で展示替えを行いました。前半は円柱を意識してガラス粒を塊に。後半は空間全体に散りばめて、ガラス粒が降り注ぐイメージです。何に見えたか、何を感じたかは、まさに十人十色だったと思います。そして、そのどれもがそれであり、言葉で例えられないのもそれはそれでいいのだと思います。目の前にある集合体が何かの加減で揺れたり光ったり、ガラスを通して世界が反転して見えたり。写真ではなかなか伝えられない、瞬間瞬間の世界がそこにありました。インスタレーションの醍醐味だと思います。昼と夜、光の強さで刻一刻と変化するその集合体は、個々は小さな存在であることを忘れてしまうほどに人の心を動かす大きな力を感じました。

『白の気配』サトウカヨ ガラス

『白の気配』サトウカヨ ガラス

技術的なことも少し学びました。
ガラスと金属の融合はとても難しく、ガラスの種類と金属の種類それぞれに相性があることや、温度の加減や収縮率などとても繊細なコントロールが必要なことを知りました。そのひとつひとつの技術と経験の積み重ねによってつくられる作品だからこそ、人を惹きつけたり興味をそそられたりするのだと思います。やはり作り手から直接話をお聞きするとさらに興味の幅が広がっていきます。

アクセサリーもたくさんの方のもとへ旅立ち、第二幕に身につけてきてくださる方もいらっしゃってとても嬉しいつながりを感じました。バーナーワークによって独自の方法で制作するカヨさんの作品は、ガラスなのにとても柔らかくあたたかな印象がありました。

『白の気配』サトウカヨ ガラス

真鍮のワイヤーでフックやクリップを作るワークショップも開催。自分で作れるなんて!しかも結構簡単!ということで、こちらもたくさんの方が参加してくださいました。

『白の気配』サトウカヨ ガラス

第二幕
2021.1.5tue-1.24sun
銅版画家 中村眞美子

『白の気配』中村眞美子 銅版画

『白の気配』中村眞美子 銅版画

長野に住んでいるなら一度は必ず目にしたことがある何気ない風景や枯れた枝や葉。眞美子さんの視点で切り取られた植物たちがつくり出す個性的な形状から、改めて日常の視点がいかにあいまいであるかを思い知らされました。銅版に刻まれた傷から脆く乾いた枝葉が表現され、絶妙な濃度で刻まれた影の部分は、少し離れると描かれていないはずの雪がはっきりと浮かび上がります。上に乗った雪を払えば、葉がピンと跳ね上がりそう。モノトーンの世界から、温度や音、枝葉の質感までもが伝わってきます。

『白の気配』中村眞美子 銅版画

『白の気配』中村眞美子 銅版画

『白の気配』中村眞美子 銅版画

『白の気配』中村眞美子 銅版画

『白の気配』中村眞美子 銅版画

また、実際に刷った元版と手動のプレス機をお借りできたことで、版画の世界がぐんと広がりました。なかなか実物をみる機会がない中、この企画展を通して理解を深める貴重な一部になりました。

『白の気配』中村眞美子 銅版画

手動のプレス機は、せっかくなのでと、型押しワークショップを。こちらもクリエイティブな作品がたくさんできあがりました。

銅版画ワークショップ

『白の気配』中村眞美子 銅版画

2ヶ月に渡り幾度と足を運んでくださった方も多く、じっくりと作品を味わっていただけたことをとても嬉しく思います。会期を終え、私自身もこれを書きながら、おふたりの魅力をさらに感じています。

作家さんと過ごす時間をはじめ、お越しいただいた方との会話の中ではっとする感想をお聞きすること、初めてtokioriの存在を知って興味を持ってくださる方がいらっしゃること、毎回企画展を通して気づきや貴重なご縁をいただいています。本当にありがとうございます。

次回はまた素敵な人、ものや事と出会った時に。
一緒に楽しんでいただけたら幸いです。

tokiori企画展 九 『白の気配』

tokiori企画 九『白の気配』

tokiori企画展 九

『白の気配』

第一幕
2020.12.8tue-12.27sun
ガラスクラフト作家 サトウカヨ

第二幕
2021.1.5tue-1.24sun
銅版画家 中村眞美子

会期:上記期間中、火、水、土、日のみオープン
時間:11:00〜18:00
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『白の気配』を感じる、ふたりの作家の作品と出会いました。
今回はひとつのテーマのもとに会期を2回に分けて、おふたりの世界をtokioriからお届けします。

第一幕はサトウカヨさんによる、インスタレーション。2年ほど前に作品の写真を拝見して虜になりました。今年の夏に念願叶ってお会いすることができ、今回の企画展に至ります。長野市ではなかなか見る機会のなかったサトウカヨさんのインスタレーションです。会期半ばの12月19日から展示替えも予定していますので、異なるふたつの世界をたっぷりとお楽しみください。冬に見るガラスのインスタレーション。とても神秘的な世界が広がりそうです。

第二幕は中村眞美子さんの銅版画。2011年ごろから中村さんの個展を拝見してきて、いつかご一緒したいと思っていた作家さんのひとりです。ドライポイントで繊細に描かれた冬枯れの風景は、見れば見るほどその感触や温度、風の音までも聞こえて来るような存在感。どんどんその世界に引き込まれていきます。今回はそんな中村さんの作品を“見る”だけではなく、もっと“体感”できるような方法の展示を、と計画しています。

まったく異なる作品からイメージした『白の気配』。
季節とともに味わっていただくのはもちろん、おふたりが表現する研ぎ澄まされた自然の美しさに、しばし心を無にしてぼーっとしてみたり、自分の世界に浸ってみたり、想像を膨らませてあれこれイメージしてみたり、思い思いの時間をじっくり過ごしていただけたら幸いです。

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プロフィール
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ガラスクラフト作家/サトウカヨ
飯綱町在住。独学で学んだバーナーワークでオブジェやアクセサリーなどを製作し、県内外のクラフトフェア出展を中心に活動。自然の中にある美しいものをカタチにしている。
在廊日:2020年12/8(火)・12(土)・16(水)・20(日)・23(水)・27(日)(予定)
※在廊日時については作家SNS、HPでご確認ください www.satok.net
○ アクセサリーやオブジェも販売します。
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銅版画家/中村眞美子
版画家・山下孝子氏に師事。身近にある風景の美しさを、ドライポイントの技法により追求している。県内外で主に個展を中心に活動。
在廊日:2021年1/5(火)・9(土)・13(水)・17(日)・20(水)・24(日)
○ 作品はお買い求めいただけますが、お渡しは会期終了後となります。
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